bunとrinは11/19に東京まで足を伸ばし、
一日で「美女と野獣」のマチネ、
「アナと雪の女王」のソワレを観るという
弾丸観劇ツアーに行ってきました。
(「アナと雪の女王」の
レビューはこちら)
↓↓↓
https://bunrin.blog/anayuki2022-11-19review/
「美女と野獣」(以降BBと表記します)
については、
bunは劇団四季の初演から観ていて、
劇団四季ミュージカルの中で
3本の指に入るほど
大好きな演目です。
初演は東京・大阪同時開幕ということで
マスコミ等でも大々的に取り上げられ、
当時大学の2年生だったbunは
大阪初日を観劇し、
本当に感動したのを今でも覚えています。
その時のベルは
当時劇団四季の看板女優だった
野村玲子さん、
ビーストは
芥川英司(現 鈴木壮麻)さんでした。
本当に懐かしいです。
何十回観たかわかりません。
だからこそ、
今回BBがリニューアルするといういことで、
本当に楽しみにしていたのですが・・・
以降はかなりの酷評となります。
劇団四季が無条件に大好きな方や、
今回の公演が
劇団四季「美女と野獣」の初観劇で
旧作をご存じない方は
読まずにどうかスルーしてください。
この公演を観るのに
12000円も支払っていて、
劇団四季は
演劇のプロ集団でありますので、
お値段に見合わないものを
見せられた場合、
観客には
不満を述べる権利はあります。
批判はあまりしたくないのですが、
思ったことを正直に書きます。
今回のリニューアルは、
はっきり言って ”改悪” です。
良くなった点が何もありませんでした。
旧演出のまま上演するか、
いっそのことお蔵入りにしてほしかった。
旧演出の浅利慶太氏が
まだ元気で生きていらっしゃったのなら、
こんな仕上がりで
お客様を劇場に入れるなど
絶対に許さなかったのではないか、
と思うほど。
劇場も、舞台装置も、演出も、衣装も、
俳優たちの演技も
すべてが納得のいくものではありませんでした。
劇場(舞浜アンフィシアター)
この劇場を今回初めて利用しました。
半円形のオープンステージと、
そのステージを取り囲むように
すり鉢状に座席があります。
私は四季の会の抽選予約で
一番良く見えるはずであるS1席を指定し
6列目の70・71番という席を
配席されました。
かなり上手側の席で、
舞台の構造上、
はっきり言ってA席レベルの見え方です。
横から舞台を眺める感じで、
シーンによっては
俳優の表情が全くみえず、
後ろ姿を見ているようになることも
しばしば。
ディズニー作品とは言え、
多くの専用劇場を所有する劇団四季が、
なぜこの劇場で
上演する必要があるのでしょうか。
とてもS1シートとして
一番高額な金額を
お客様から頂戴できる席ではありません。
この劇場の舞台の見え方は
一応劇団側も気にはしているようで、
サイドB・Cというエリアは販売されず
黒いシートがかけられて
使用されていません。
それにしてもこの見え方でS席、
生オケもなく12000円ですか・・・
お高いですね🤑。
舞台装置
旧作を知っているからこそ、
非常にショボくなったとういうのが
正直な感想です。
舞台装置、本当にショボいです。
劇場の形に合わせてそうなったのか、
ただ単にコストダウンをしたかったのか、
理由はわかりません。
センスもありません。
美術なんて、
学芸会に毛が生えたレベル。
細かいことを言い出すと
とても書ききれないので、
どうしても気になったことを二点。
- 扉
城の扉が
ただの暖簾のような
小さな垂れ幕1枚に
なってしまいました。
モリースが城にたどり着いた時、
ベルがモリースを探しに城に来た時、
そして最後にガストンが
野獣を殺しに城に押し入る時、
すべてこの小さな垂れ幕が
上手に突然降りてきて
垂れ幕が上に巻き上がることにより
城の門が開いたという設定です
重厚感ゼロ。笑っちゃいましたよ。
お城で囚われの身になった
ベルの部屋にも
以前のような「扉」がなく
ビーストは
橋のようなセットを渡れば
もうそこはベルの部屋。
旧作では
食事の同席を強要するビーストに
憤慨したベルが
ドアをバタンッと思い切り閉め、
ビーストを拒絶。
外に締め出してから
絶望に暮れて
『home』を歌い始めるのですが、
扉がないのでそれができないですね~。
食事を持ってきたビーストが
ベルの部屋のドアを
ノックすることもできず。
どこかよくわからない場所を
上下に叩いてノックしていて、
とても不自然です。
旧作では
意識したこともなかったですが、
扉ってすごく大切なんだって
よくわかりました。
この作品での扉は
「心の壁」であったり
「個々の領域」を
表現していたんだと痛感。 - 図書館
あのセットは酷すぎます。
「今までに
こんなたくさんの本を
見たことがないわ!!」
というベルのセリフで
〈え?そうなの??〉
って仰天するくらい、
少ないんです、本が!
旧作のセットは壁一面に
本がずっしりと並んでいました。
たくさんの本があってこその
ベルの感動を表すセリフなのに、
なんですか?あのショボい美術。
そこに用意されたように
1冊だけアーサー王が
置いてあるんですね。ハハハ。
はい、不自然です。
そして
アーサー王の朗読に夢中になる二人。
振り返るといきなり
ベルが老眼鏡をかけてます。
はい、不自然です。
ということは、ベルは
ピンクのドレスに着替えた時、
ビーストから
図書館のプレゼントがあることを
図々しくも予想し、
老眼鏡をピンクのドレスのどこかに
忍ばせていたんですね。
もっと遡って言えば
森に父親を捜しに来るときに
老眼鏡だけを持ってきたんですね。
準備万端。
はい、不自然です。
そもそもオープニングから
老眼鏡は必要ありません。
視力が落ちるほど
本が好きだと言いたいのですか?
そんな小道具なくても、
ベルが無類の本好きであることは
表現できますよ。
四季の会報のアルプでは、
たしか海外演出スタッフの家族に
メガネをかけている娘さんがいて、
「自分はメガネをかけているから
プリンセスにはなれないんだ」
みたいなこと言ったから
ベルにメガネを
かけさせることにした、
みたいな内容が書いてありましたが、
もともとベルは
メガネでモテない地味女子でしたか?
町一番の美しい女子でしたよね。
身内の家族に
夢を持たせるために
この作品の設定を
変えてしまう
のですか??
ベルがメガネを
かけるようになったのは
世の中のメガネ女子に
”プリンセスになれる”
という
夢を持たせるため
なのですか??
意味のないリニューアル
しないでください。
衣装
女性のドレスがすべて
足首と膝の真ん中くらいの
ミモレ丈になりましたね。
これって何か意味があるのですか?
使用されている生地は質感が悪く
見ただけでお安いものだと丸わかりです。
以前よりもかなり
コストダウンされたんでしょう。
丈が短くなった分、
使う生地も少なくなって
これまたコストダウンできたんでしょう。
色使いもチャラチャラとして
上品さがなく、
以前のように
見ているだけで女子が憧れてしまうような
お衣装ではありませんでした。
全体的にセンスも悪く、
何よりも
ベルの黄色のドレスが
一番ひどい改悪でした。
あの黄色、
ケバい刺繍、
言葉もありません。
あのドレスは
改悪の集大成です。
演出
演出は本当に謎ばかり。
疑問はたくさんありますが
こちらも2点だけかいつまんで言います。
- ベルとモリースが歌う『二人で』をカット
『二人で』の楽曲が
まるまるカットされ、
「パパはママが
どうして運命の人だと
わかったの?」
みたいなセリフに
変わってましたが、
ゆくゆくベルが
〈恋をする〉という
前提の会話のように聞こて、
冷めました。
お話の展開は
アニメなどで
ほとんどの方が知っていますので、
このような伏線は要りませんよ。
『二人で』は
ベルの心の奥に
孤独が潜んでいることを表現する
大切な楽曲でした。
モリースだけはベルを理解していて、
父娘の絆は本当に強く、
だからこそ、その後の
あらゆるシーンにつながってくのです。
ベルにとって父親が
”唯一無二”な理解者だからこそ
父を心配し、会いたがるベルを
ビーストが
「最初から囚われの身ではなかった」と
城からベルを帰す場面にも
重みがでてくるんですよ。
この場面でベルはやっと、
父以外の自分の理解者を得るのです。
だからこそビーストから
一度離れても、
自分を理解し、
大切にしてくれたビーストに
また会いに戻ってきたのです。
ようやく
”愛”が芽生えるわけです。
カットする場所、間違えてます。
全体的に
薄っぺらくなってしまったのは
このシーンをカットしたからといっても
過言ではないかと思います。
お話の土台を省いたも同然です。 - 「人間に戻りたい」のシーン
旧作は
お城の中で
ビーストと一緒に
魔法にかかってしまった者(物)達が、
人間に戻れる期待を
全員で歌いあげていましたが
今作はなぜか
お城の中に全く関係のない
村人カップルのような人たちが
お城に急に入り込んで
アンサンブルとして
一緒に歌い踊っています。
バベット・コッグスワース
ルミエール・ミセスポット
マダムブーシュ以外は
全員村人。
あれ??
誰もお城の中に
入れてはならないのでは???
都合よくたくさんの人を
入れ過ぎましたね。。。
もう笑うしかありません。
俳優さんたちの演技
- ベル役の五所真理子さん
彼女のシラバブやメグ・ジリーは
観たことがありましたが、
主役を演じているのを観るのは
今回が初めてでした。
観て思ったのは、
ひょっとしたらこの方、
”ヒロイン格の方では
ないのかもしれない”
ということです。
歌も冒頭から
声が出ていません。
そして何よりも
ベルのセリフは宝石ですが
なーんにも伝わらなかったです。
もっと一言一言が
本当に素晴らしいはずなのに、
とても勿体ないことしてます。
脚本がいいのに、
それを観客に伝えられないのは、
明らかに役者の責任です。
お顔立ちは
そこそこお綺麗だとは思いますが、
このクラスのお顔の女優さんなら
他にもたくさんいるというレベル。
いつもニヤニヤしている感じがして、
父親が囚われていても、
ビーストが死にかけていても、
切実さが伝わらないのが
致命的。
そしてベルに一番必要な
〈聡明さ〉というものを
全く感じられません。
ただの素朴な町娘です。
五所さんって
小柄で可愛らしく見えますが
確か年齢的には現時点で
もう30代半ばですよね。
経歴を拝見しましたが、
大学在学中から入団し
いままで続けて来られて、
芸歴としては中堅の域のはず。
中堅俳優にしては酷すぎます。
配役は
劇団側の責任でもありますが、
あのレベルの歌や演技で、
これからの劇団を担う
20代前半の期待の若手、
というわけでもないのに
ベル役をゲットできるなんて、
以前では
考えられなかった気もします。
劇団四季のレベルそもののが
落ちてしまったんだと
思わざるを得ないです。
初演当時
まだ20代前半でベルを演じた
堀内敬子さんの方が
よほど上手に
演じられていたと思います。
- ビースト役の清水大星さん
そんな五所ベルの演技を受けて、
清水ビーストはベルに
恋などできないのでしょうか。
ビーストとベルの会話、
あまりしっくりきていません。
二人の会話は
観客が見ていて
もっと胸がキュンとしないと・・・
これまでフィーパスやジーザス、
ファントムで拝見して
フィーパスとファントムは
大星さんの
当たり役だなって思いました。
けっこう好きな俳優さんなので、
実はとても期待していたのですが、
残念ながら今回は
特にトキメキを感じませんでした。
歌はいつも通り
めちゃくちゃ良かったですよ。
清水さんの歌、
新しい役を演じるたびに
どんどん上手くなってると思います。
ただ、やっぱりBBは
ベルとビーストの会話や、
恋に落ちる姿に
キュンとしたいのです。
最後王子に戻った時に
♪いつの日にか
こうして君に出会える日を夢見てた♪
と歌うところ、
上手を向いて歌うので
大星さんの表情が
よく見えましたが、
顔、怖すぎです😱。
怒っているような表情に見えました。
なんで?!
自分のお顔、
鏡で見て研究してください。
キスのタイミングも
二人とも下手くそですね。
- その他のキャストさん
コッグスワースと
ルミエールについても、
旧作ではもっと笑えましたよね。
二人のやりとりって
本当に楽しいものなのに、
今回演じた大木智貴さん、
吉賀陶馬ワイスさん、
セリフが全部流れてしまっていて、
ダジャレになっているセリフすら
会場はクスリとも笑わないです。
出演していた
全ての俳優さんに
聞いてみたいです。
観客の反応がとても薄いこと、
演じていて
何もお感じにならないのでしょうか?
旧作って、全編通して
観客がほのぼのと笑ってしまったり、
それぞれの人を想う心にグッときて
目頭が熱くなったりしたのに、
そういったことは
何も起きませんでした。
衣装やセットが
グレードダウンした分、
俳優さんたちが頑張って
ドラマで観客を楽しませないと、
リニューアルの意味
全くありません。
まとめ
旧作は本当に大好きで
幾度となく
劇場に足を運んだBBでしたが、
今回のリニューアル版を
リピートすることは
もうないと思います。
一度で充分。
もし感動したら、
金本×平田ペアも
観ようと思っていましたが、
そんな気持ちには
到底至りませんでした。
せっかくいい作品を持っているのに、
この素晴らしい演目を
存分に活かしきれないなんて。
実にがっかりです。
私が大好きだったBBは
ちょっと豪華な
子供ミュージカルみたいに
なり下がってしまっていて、
本当に残念で仕方ありませんでした。
現代に合わせて演出を変えた、
とか言われてますが
「昔、あるところに…」
から始まるストーリーを
現代に合わせる必要など
なかったのです。
同日ソワレで観たアナ雪は
本当に素晴らしかったので、
余計にBBの酷さが
心の中で際立ちました。
アナ雪は生オケもついて、
ハイテクを駆使した舞台装置で、
美術も衣装も
俳優陣の芝居も素晴らしいのに、
ただソワレだからという理由で、
BBよりお安いチケット代金でした。
劇団四季さん、
もう少し料金設定について
考えてください。
以上、BB観劇レビューでした。