2023年9月17日、
大阪狭山市文化会館
SAYAKAホールで
劇団四季クレイジー・フォー・ユーの
全国公演を観てまいりました。
クレイジー・フォー・ユーは
初演から観ており、
個人的には
劇団四季の演目の中で
3本の指に入る大好きな作品です。
8年ぶりの上演とのことで、
前回観たのは8年前になるんですね。
時が経つのは早いものです。
前回は、場所は同じSAYAKAホールで、
松島勇気ボビー・岡村美南ポリーで
観たのを覚えています。
チビボビー・デカポリーで、
あまりにも身長の差がありすぎて、
ミュージカルコメディーというより、
吉本新喜劇のようになってしまっていたのを
強く記憶に残っています。
今回の見どころは、
新ボビー&ポリーはもちろんのこと、
それに加え
前回公演までポリーを演じていたお二人、
岡村美南さんがアイリーン、
宮田愛さんがテスを演じるというところです。
最初に聞いた時には、
まだ若すぎるんではないかと
一瞬思いましたが、
気がつくとあれから8年も経過しているのですね。
現在岡村さん37歳、
宮田さん35歳ということを考えると、
ポリー役よりは
アイリーンやテスが適役なのかもしれません。
前置きはさておき、
さっそく、感想に進みます。
今回は3列目、上手側で観ました。
ちょっと前過ぎました…
ボビー 斉藤洋一郎さん
今回ボビー役で配役されたのは
斉藤洋一郎さん、
萩原隆匡さんのお二人でした。
ボビーの年齢が30代前半とすると、
萩原さんは御年45歳。
前回公演でもボビーを演じられていますし、
今回は是非とも、
フレッシュな斉藤さんで観たいと
願っていましたので、
週間予定キャストで
斉藤さんだとわかった時には
嬉しかったです。
斉藤さんを拝見するのは
キャッツのマンゴジェリー役以来です。
斉藤ボビーの感想ですが、
「カワイイ」。
こんなに可愛いボビーは、
今までいなかったかもしれません。
一生懸命さが憎めない、
とても育ちが良く、優しい、
誠実さを感じるボビーです。
ボビーって、
”調子がイイなっ”て感じるところも
必要だと思うのですが、
彼の場合は、お調子者というより、
身軽でユーモラスという印象です。
冒頭に登場して、
ザングラーの前で、
「フィニッシュが最高なんです」のあと、
タップのステップを披露するシーンでは
リズムがしっかり刻めていなくて、
十分にステップ音が客席に届かず、
初っ端から圧倒される
加藤敬二さんのダンスの素晴らしさを
思い出してしまい、
一瞬先が不安になりましたが、
斉藤さんはシーンが進むごとに、
どんどん役にノッていく感じでした。
ソロのダンスもなかなかでした。
身のこなしがとても軽やかで、
ジャンプも高く、
ターンの軸もまったくぶれないです。
バットマンで伸びた足も、
エアプレーンで広げる両手も、
本当に美しく、終盤には、
斉藤さんって、こんなに踊れたんだ…と
ちょっとびっくりしました。
いろいろな作品がある中、
C・F・Yのボビー役は、
男性が演じる主役の中で、
一番高いレベルの技術を
要求されるのはないかと思います。
1994年の初演から数えて、
歴代ポリーは
ざっと数えて12名いるにもかかわらず、
ボビーはたったの6名しかいません。
30年近く経っているのに6名だけです。
これだけ踊って歌って演じて、
しかもコメディーセンスまで要求される役って、
なかなかないです。
ボビーを演れる方は限られます。
本当にスゴイと思います。
斉藤さん、
とてもお若く見えますが、
もう36歳なんですね。
これからしばらく、ボビー役を
もっともっと深めていってほしいですし、
これを機に、
さらなるご活躍を期待しています。
ポリー 町真理子さん
町真理子さんは、
キャッツや
ロボット・イン・ザ・ガーデンで
拝見したことがあり、
ポリー役にキャスティングされた時は
正直ポリーのイメージが湧かなかったのですが、
実際に見てみると、
ポリーのウィッグや衣装が
良く似合っていましたし、
保坂千寿さん・山崎佳美さん以降、
ポリーを演じた女優さんの中では、
比較的役の雰囲気に
合っている気がしました。
ポリーのソロナンバーは、
本当に難しいだろうと思います。
町さんのソロを
主役としてガッツリ聞くのは初めてですが、
地声の音域が
とても広い方という印象を持ちました。
かなり上の音域まで
しっかり地声で歌っていて、
スゴイなぁと思う反面、
少々固さと不安定さを感じ、
地声がひっくり返ってしまう箇所もあったので、
ミックスボイスや裏声も
効果的に使って歌った方が、
さらに情感が豊かに感じられたり、
ふとしたところにポリーの女性らしさを
表現できるのではないかと
思いました。
ドスを利かす歌い方や、
担架を切るセリフも、
それなりに板についてました。
歴代ポリーの中では、正直、
言わされている感アリアリの方、
キャラ違いだな…って感じる方も
中にはいらっしゃいましたが、
町ポリーは安心して
観ることができました。
若々しく、可愛かったです。
もう一人の相原萌さんも
今回配役された新しいポリーなので
是非観てみたいです。
アイリーン 岡村美南さん
岡村美南さん、
ポリー役からアイリーン役へ
本公演から移行されたわけで、
キャストが発表された時は驚きましたが、
アイリーン役、とってもよかったです。
ポリー以上に似合っていました。
あらためて感じたのは、
やっぱりこの方、
歌が上手いですね。
他の方も上手なのですが、
岡村さんは安定感が抜群です。
舞台上でその役の世界を作るのも
とっても上手。
やはり彼女は、
主役級の俳優さんだなって思います。
ただ、岡村さん、
劇団四季の女優さんとしては
身長が高すぎるんですよね。
とてもスタイルが良くて、
超舞台映えするんですけど、
相手方の男性が小さいと、
どうしてもバランスが悪くって
すごくおかしなことになってしまう。
まさに、前公演の、
松島ボビーとのコンビがそうでした。
これだけキスシーンが沢山ある作品なので
背伸びをしないとキスが届かないボビーなんて、
違和感しか感じません。
いくら歌えて踊れて、
実力で配役されている俳優陣であっても、
見栄えやバランスって
とても大事だなって感じたました。
特に昨今の劇団四季の男性俳優陣は、
なぜだかとても小さい方が多いので、
悩ましいところです。
エスメラルダ役で、
大星さんや佐久間さんが相手の時は、
なーんにも問題ないんですけどね。
岡村さん自身は
スタイルも実力も
しっかり兼ね備えている女優さんなので、
劇団側も、
岡村さんを主役にする時は、
バランスを考えて、
岡村さんの良さが
ちゃんと発揮されるような相手方を
配役をしてほしいものです。
今回ランクを演じた脇坂さんは
タッパがあるので
岡村さんと並んでも、
非常にバランスが良く、
心から楽しめました。
Naughty Baby、
素晴らしかったです。
ソロナンバーが一曲だけなのは残念ですが、
数々の公演で主役を演じてきた岡村さんが
脇役で出演するC・F・Y、
とても贅沢に感じられました。
テス 宮田愛さん
別の作品の話から入りますが、
コーラスラインのキャシー役を
宮田愛さんで観た時、
”歌えるキャシー”に衝撃を受けました。
元スターのダンサーという役ですから、
そもそも、ダンス力が抜群の方でなければ
演じられない役。
もちろん過去にもしっかり踊れる、
美しい女優さんはいたのですが、
桑原美樹さん以外は、
歌えるキャシーの記憶がありません。
その桑原さんですら、
キャシー役よりも
ジュディ役で舞台に上がることのが
多かった気がします。
昔から劇団四季の公演を観ている方なら
よくご存じかと思います。
「キャシーは踊れても、歌えない。」
その四季の常識(??)を見事に覆したのが
宮田愛さんです。
そんな宮田さんを
テス役で観られるとのことで、
楽しみに劇場に足を運んだのですが、
今回は残念ながら、
あまり心にヒットしませんでした。
3列目で、
間近で観ているからかもしれませんが、
はっきり言ってしまうと、
ちょっと痩せすぎ。
顔もコケていて
周りと比較しても異様に小さいですし、
二の腕なんかも細すぎて筋ばかり目立ち、
存在感が弱くなってしまっている感じすら
覚えました。
もともと華奢な方ですが、
さらにお痩せになられたんでしょうか。
テス含め、
ザングラーフォーリーズの衣装は、
体のラインがしっかり出るものや、
露出度も高いものが多く、
付くところにお肉が付いていないと、
貧相に見えてしまいます。
ポリー役であれば、
ロングフレアかパンツルックですし、
キャラクター的に、
多少ガリだったとしても
そこまで気にならないとは思うのですが……
これから宮田さんは、
テスのような大人の女性を演じる機会が
グッと増えるような気がするので、
もうすこしふっくらされた方が、
役に説得力が出ると思います。
ダンスもスピードがあってキレッキレで、
それ自体は素晴らしいのですが、
テスという役から考えると、
ダンスディレクターなので、
ガンガンに踊りまくってしまうよりは、
どこか俯瞰しているような、
落ち着いた感じが欲しかったです。
前公演で観た
高倉恵美さんのテスは
本当に美しかったです。
忘れられません。
ダンスにもゆとりがあり、
あの時は、テスが舞台に出ると、
思わず目で追ってしまって、
ザングラーがゾッコンになるのも
わかる気がしました。
その他のキャスト
パッツィ役の古森麻由さん、
第一声を聞き、その個性に釘付けです。
これまでにないタイプのパッツィで、
面白かったです。
例えるなら、
ピンクの電話のよしこちゃん的な感じですね。
(古くてスミマセン。)
舞台に上がっていない時も、
あんな感じの方なのか、
気になりますね。
とてもカワイイし、
いい味出てました。
ナイスな配役だと思います。
初演のボビー役から観ていた
荒川務さんのザングラー役も、
感慨深かったです。
タガーやビースト、
リフを演じていた彼が
今やザングラー……
そりゃ自分も、歳をとる訳です。
脇坂真人さんも、
劇団四季長いですね~。
たしかC・F・Yも
初演から出演されています。
一度は退団されていますが、
地道に劇団四季で研鑽に励まれ、
ずっと舞台に立ち続けておられ、
本当にスゴイと思います。
アンサンブルに入ると、抜群に踊れて、
体格が良く男前なので、
観終わった後も印象に残る方です。
ダンスキャプテンをされたり、
ダンス畑のイメージがあるので、
ランクではご本人が物足りないのでは??
なんて気もしてしまいましたが、
もうアラ還でいらっしゃるんですね。
演出スーパバイザ―などを務められながら
同じ作品に長年携わり、
今回ランクという、
別の役に転向をされるのは、
本当に素敵だと思います。
これまでとは違った、
渋くてどこか格好いいランクで、
それはそれで良かったです。
陰ながら応援しています。
まとめ
初見の観客が多いのか、
ばかうけしている方もました。
カーテンコールの時も、
ポリーやボビーが現れると、
「うわ~」「きゃー」みたいな
喜びの声も上がっていて、
熱い拍手に包まれていました。
主役の斉藤さんも、町さんも、
故郷である関西に
錦を飾ることが出来て、
さぞ、嬉しかったのではないかと
思います。
やっぱりこの作品は
イイんです!!
その一言に尽きます。
観た後こんなに爽快で、
ハッピーな気持ちになれる作品は
他にはありません。
楽曲もストーリー展開も、
脚本も、ダンスも、
全部本当に良く出来ています。
こんなに罪のないミュージカル、
他にありません。
自分の中でのは
加藤ボビー&保坂ポリーを超えるキャストは
まだ現れていないというのが
本音ではありますが、
作品そのものが素晴らしいので、
ずっと上演し続けてほしいですし、
今後も、
”我こそは”という新しいキャストが
現れるのを楽しみにしています。
大阪四季劇場、
次は「バケモノの子」ですね。
ごめんなさい、
全然テンションあがりません。
一応、観には行きますが、
あまりに評判がよくないので、
C席で予約させていただきました。
もともとパペットを駆使する作品は
好きではないので、
余計にそう感じるのかもしれませんが、
劇団四季の
最近のオリジナル・ミュージカル、
はっきり言って、いまひとつです。
ロボ庭も個人的には超苦手だったので、
バケ子も全然期待していません。
「ゴースト&レディ」は
見ごたえのある、
良い作品になるといいのですが。
個人的には、バケ子より、
「クレイジー・フォー・ユー」こそ、
何ヵ月か上演してほしいです。
演ってくれたら
月1でリピートしますよ!!
劇団四季さん、
是非ともお願いします。
ではこのあたりで、
失礼致します。